フリーランス・一人会社

売掛金を回収できずに廃業・倒産するリスクをなくす方法

売掛金を回収できずに廃業・倒産するリスクをなくす方法

「クライアント・取引先がお金を払ってくれない!」
「何度も取引実績のある企業さんだから油断した…」
「契約書もしっかり交わしたのに…」

この記事では、後払いの受託案件などを請け負っている一人社長・個人起業家・複業家・フリーランスの方向けに、売掛金を回収できずに廃業・倒産するリスクをなくす方法について、考察した結果を書かせていただきます。

現金商売以外の経営者・個人事業主・フリーランスの方なら、きっと売掛金を回収できなかった経験が1度や2度はあるかもしれません。
期日までに入金がなかったものの、取り立ててなんとか支払ってもらった、という経験をお持ちの方も多いと思います。

期日までに入金がないと、売掛金回収のために連絡をしたり訪問したり、余計な時間と労力をとられます。
さらに、入金遅れや貸し倒れが発生すると、金額によっては資金繰りの悪化につながり、場合によっては廃業・倒産の可能性が高まります。
いわゆる「連鎖倒産」になりかねません。

約束の期日にお金が振り込まれないって、困りますよね。
ですが、「売掛金を回収できなくて自社が痛手を負う」というのは、経営者・事業主である自分の責任です。
リスク管理・与信管理を徹底し、そもそものリスクを抑える対策をしたり、兆候があれば予見して損失を回避する必要があります。

私も特に新規の取引先なら、調査したり、社長や担当者の応対などから、取引しない方が良い会社か判断し、ご依頼を辞退させていただくことも割とあります。

しかし気をつけていても、掛取引、つまり後払いでお金をいただく案件がある以上、売掛金を回収できないかもしれないリスクは常に隣り合わせです。

では、そのリスクをいかにして限りなくゼロに近づけるのか?
安全にビジネスを継続していくために、確実にお金を得るにはどうすればいいのか?

ということを、この記事でまとめていきたいと思います。

キャッシュが有り余っていて余裕しゃくしゃくの経営をしている中小企業・個人企業・フリーランスの方は、そんなに多くないと思います。
売掛金を回収できずに資金繰りが悪化したり、高額案件で貸し倒れが発生した場合、最悪廃業・倒産ということにならないよう、予め先手を打っておきましょう。

一人ブラック企業状態を脱却し「一人ホワイト企業」として、収入を伸ばし続けながら、人生を楽しみ生き生きと輝きたい、一人社長・個人起業家・複業家・フリーランスの方は、ぜひこちらのサイトをブックマーク(お気に入り)登録していただけたら嬉しいです。

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創業から7年で、期日にお金が振り込まれなかった取引先数

個人企業・超少額取引は要注意

私も創業から7年ちょっとの間に、期日までにお金が振り込まれなかった取引先が、記憶している限りで8社ほどありました。
このうちの数社はお取引の長かった会社で、最近発生しました。
やりとりを経て、おおむね全額回収していますが、回収できなかったこともあります。

このうち2社(個人企業)はそれぞれ1万円台の非常に少額な料金で、だからこそ地味にタチが悪いです。
何度か連絡しても「確認します」などの返答のみで、電話は出ず、しまいには連絡がとれなくなりました。
ある程度の金額なら、会社を訪問しますが、労力に見合わないのでこの2社は取り立てをやめました。

数十万円~の売掛金の方がむしろ、相手も罪悪感があるのか、回収成功確率が高いです。

私がいつも経営を学んでいる先生に「(売掛金の回収は、相手に)面倒くさがらせることが基本だからね。放っておくと後回しにされるから。」と教わりました。

回収はすぐに連絡し、場合によっては訪問するなど対応していかないと、支払いを後回しにされます。
大抵、取り立てがうるさく厳しいところから支払われるものです。
何度か取り立て、回収成功した経験からも、そう実感しています。

売掛金の未回収を撲滅すべき理由

  1. 回収のために連絡したり訪問したり、余計な手間・労力がとられる
  2. 期日に入金されていない事実そのものや取り立て・交渉などが精神的なストレスになる
  3. 入金が遅れたり、貸し倒れにつながると、資金繰りが悪化する(仕入れ・外注をしないビジネスであれば、運転資金がさほど必要ないため廃業・倒産リスクは低い)
  4. 手元のキャッシュに余裕がない人・会社の場合、売掛金の未回収が数件重なったりすると、最悪廃業・倒産したり、生活費などの支払いにも困る可能性がある

制作やコンサルティングなど、一人で行っている労働集約型のビジネスですと、売掛金の回収など余計な業務が増えることもストレスになりますし、こういった時間のムダは収入減少に直結します

また、案件によっては、各専門分野のパートナー企業やフリーランスへ外注費を支払う場合もあります。
貸し倒れが発生しても外注費はしっかり払いますので、その案件で稼働した自分の時間が無駄になるだけでなく、身銭も切ることになります。

こうして、廃業・倒産の可能性が高くなります。

そのため、納品した案件の料金が支払われないなんてことは、徹底的に撲滅する必要があります。

(労働集約型のビジネスにおける一人ブラック企業状態や、売掛金の回収・取り立てなどの経験を踏まえて、私は労働集約型のビジネスやストレスを極力減らし、一人ホワイト企業に転換していこうと決意しました。)

期日までにお金を支払ってもらえない原因

期日までに支払ってもらえない理由としては、「こちらに原因がある」場合と、「先方の都合(経営状況の悪化など)」の場合があります。

【こちらに原因がある場合】

  • 料金に見合うサービスや満足の行くサービスを提供できなかった(その場合は請求書を送る前に、請求できない流れになると思いますが)
  • 請求書の送付を忘れていた、遅くなった
  • 請求の仕方や態度が悪かった
  • 先方から連絡があった時に応じられなかった、折り返しや返信を忘れていた

こういったことがあると、請求できなかったり、お金をいただけない可能性が高まりますよね。

また、「請求書の表記と未払いにはある程度の因果関係がある」と、仕事でお付き合いのある取引先の経営コンサルタントの方に教えて頂いたことがあります。
その方は大手企業勤務時代に、営業売上20億円を達成したご経験もある方なのですが、高額未払いに悩まされた時期が結構あったとのことでした。

「誰だってお金はもらう側に立ちたく、支払う側には立ちたくない心理があります。」
クライアント目線で、先方が気持ちよく支払いたくなるような請求書の表記を意識し、心情的な障壁を取り除く工夫をすると良いとアドバイスいただきました。

請求書も何となく事務的に発行・送付するのではなく、未回収のリスクを抑えるために細部まで工夫する、ということは当時の私には目から鱗で、ありがたい気づきでしたので印象に残っています。
具体的な表記の仕方や工夫については、案件の内容や相手の取引先などによると思いますが、ビジネスやマーケティング同様、お客様目線で請求書も工夫するということは大切だと思います。

また、このような当社側の原因はなく、真摯に誠心誠意、業務を遂行したとしても期日までにお金が振り込まれないこともあり得ます。
経営状況の悪化など、完全に先方の都合の場合です。

【先方の都合・原因の場合】

  • 一時的な資金繰りの悪化(他社からの入金や資金調達後に支払ってくれる場合がある)
  • 特別資金繰りが苦しい訳でもないが、余裕がある訳でもないので、手元のキャッシュを厚くするために少しでも支払いを先延ばしにしたい
  • 経営状況の悪化、持続的な業績の低迷、廃業・倒産寸前の状況
  • 支払ったつもりでいた、支払い期限を誤っていた、経理担当者のミス(本当の場合もあるかもしれないが、支払い遅延・先延ばしの常套句)
  • 最初から支払意思がない(詐欺、外注使い捨てで仕事をさせて、利益を稼ぐ目的など)

こういったことがあるため、取引する会社や案件を見極めて、事前に損失を回避することが必要となります。

一度あるいは何度かお取引のある会社でも、継続的にリスク管理・与信管理を徹底することが重要です。

売掛金を回収できずに、資金繰りが悪化するリスクを限りなくゼロにする方法

前払い制(前受)にする

まず、「売掛金の未回収が発生する」という事象に対して、「いかに確実に売掛金を回収するか?」と考えることは、根本的な問題解決にならないと思いました。

そもそも、売掛金を回収しなくていいようにできないか?
いかに、100%確実にお金をいただき、売掛金回収の手間や貸し倒れ発生、資金繰りの悪化を防止するか?

ということを考えました。

「売掛金(後払いの売上)」がある以上、未回収のリスクはゼロにできないので、そもそもすべての取引を「前払い制(前受)にして、ご入金いただいてから着手する」とする対策が考えられます。

私の場合は、一部のお取引先からの制作業務や下請け的な受託案件の受注以外は、コンサルティング料金などは基本的に前払いでお願いしています。

しかし、エンジニア・デザイナー・クリエイターのフリーランスの方などの場合、企業のクライアントに対して、前払いをお願いすることはなかなか現実的に難しいですよね。

ただ前払いをお願いするだけでは、後払いでこちらが負っていたリスクを、相手に「背負ってください」と押しつけるようなものなので、通常断られると思います。
特に、新規のお取引先から受注できる際に、前払いを伝えることで成約率が下がる(破談になる)ということもあり得ます。

エンジニア・デザイナー・クリエイターとして、毎回スピーディーに高い品質の成果物を納品していたら、取引先からの信頼性も高まります。
しかし、どれだけ信頼性やサービス品質、スキルレベルを高めても、他に安く後払いでやってくれるフリーランスの方はたくさんいるわけです。
そのため、エンジニア・デザイナー・クリエイターさんに前払いで外注してくれる取引先はなかなかいないと思います。

エンジニア・デザイナー・クリエイターのフリーランスの方は、ずっと受託案件だけをこなし続けるのはリスクも高く、相手の取引条件に従ったり、自由度も低いです。
「フリーランス」なのに「不自由」ということもよく言われています。

下請け的な受託案件を徐々に減らして、独自の自社商品・パッケージを販売したり、ディレクター・プロデューサー、コンサルタント、経営・営業などより上流の仕事に移行していくことが重要です。

下請け的な受託案件だと相手の取引条件をのんで、後払いでのお仕事が主になりますが、独自の価値のある商品・パッケージサービスなどを提供していく場合は、ほかで買えないものなので、こちらの取引条件・支払条件(料金、前払いなど)が通りやすいです。
また、しっかり売上をつくり、個人事業ではなく、法人を設立してビジネスを展開していくことがおすすめです。

「コンサルティングや営業なんて興味がない、自分はつくることが好きなんだ、つくりたいんだ」
「ずっとエンジニア(あるいは、デザイナー・クリエイター)でありたい」
という方も多いと思います。
好きなこと、得意なことでお金をいただき、ずっと働いていけるということも素敵なことです。

でも、本当に好きな仕事、やりたい仕事をできていますか?
何歳まで健康で働けますか?
数十年後、そのお仕事はあると思いますか?

下請け的な受託案件で、せいぜい時給3,000円~5,000円、驚異的に高い人で時給1万円くらいが限度じゃないでしょうか。
それで相手の取引条件をのんで後払いで、日々業務遂行・納品のために疲弊し、その報酬が万が一振り込まれなかったら…。

独立・起業するというのは、リスクをとる代わりに、自分で選択権や意思決定権を握り、主体的に自由に動けることがメリットだと思います。
リスクもある上に、不自由で不安定な状態を一生続けるのは、ハイリスク・ローリターンになりかねません。

「こういうものを作ってほしい」と言われて、提案したり作業する受託案件だと、ほかのフリーランスや会社と金額や内容の面でどうしても比べられてしまいます。
前払いをお願いするのも至難のわざです。

比較されずに選ばれる価値のある商品(必ずしもモノではありません)や、パーソナルブランディングに意識的に取り組み、比較されずに選ばれる存在になっていくことが、長期的な事業存続のうえで重要です。
誰でもフリーランスになれる時代になりましたが、何となく自営を続けて悠々自適に生きられるような経営環境ではなく、結構厳しい時代だと感じています。

エンジニア・デザイナー・クリエイターのフリーランスの方が、独自の自社商品・サービスの展開や、ディレクター・コンサル・経営・営業など徐々に上流の仕事にシフトしていくことがおすすめな理由、一人ホワイト企業に転換していく方法などについての詳細は、別の記事でまとめさせていただく予定です。

前払いをご快諾いただくためのアイディア8つ

前払いをお願いするということは、取引先にとって、どういう影響やハードル・リスクがあるのか、物理的なメリット・デメリット、精神的なメリット・デメリットに分けて考えてみました。

デメリットを取り除き、メリットを感じさせることができれば、前払いをご快諾いただける確率が高まるはずです。

前払いするメリットというのは、物理的なメリットも精神的なメリットも、基本的にはないですよね。
メリットがない状態でお願いだけしても断られる確率の方が高いので、何らかのメリットをつくるアイディアも必要だと思います。

よくある例として、一括前払いだと多少割引になったりしますが、あれは、前払いするメリット・理由をつくるための工夫ですよね。
値引きが利益減少に与えるインパクトは値引きの割合以上に大きかったりするので、割引後の価格がむしろ通常価格で、割引前の価格が割高なのかと推察します。

あとは、割引ではなく、無料サービス・特典を付ける、という方法もありかと思います。
ただ、前払いをお願いするために、業務量が増えて、結局事業が回らなくなるのでは本末転倒なので、事前によく検討する必要があります。

メリットを感じさせるアイディアは、ターゲットやビジネスごとに色々と考えられるのではないかと思います。

それから、先方にとって「前払い」が一番ネックになる「お金だけ取られて、納品されない可能性があり不安を感じる」という精神的なデメリットのところのリスク・不安をつぶすことが必要だと考えました。
前払いでお金をいただくためには、「信用」が必須かつ最重要ですよね。

【取引先が感じる、前払いのリスク・不安を少しでも取り除くためのアイディア】

  1. 実名・顔出しで露出し活動している
  2. 法人登記している(法人設立している)
  3. 既存のお客様の声を載せる(事例・実績だけでなく、できればお客様のお写真・社名・実名付きのコメントを掲載する)
  4. どんな経緯・思い・理念で、経営やサービス運営・提供を行っているのか、Webサイトに掲載している
  5. 日頃からSNSやブログなどで情報発信し、活動の様子や実態・実体もうかがえる
  6. SNSやブログでの「単純接触効果」による、親近感、好感、信頼性の向上(小規模事業者ほど、SNSやブログ更新は強い武器になる)
  7. 本を出版していたり、メディアに出演しているなら、Webサイトにまとめて実績を掲載しておく(社会的信用、信頼性が高まる)
  8. 客観的信頼性、社会的信用の高い団体や組織へ所属している場合は、それもWebサイトに掲載しておく

などが具体的なアイディアとして考えられます。

満たしている項目の数よりも、それぞれどれだけ深く実現できているか、また、実際に信用に足る人物・商品価値であることが重要だと思います。
特に、情報発信や露出については、一朝一夕に信頼を築けるものではなく、継続的に価値を提供し続けていることが大切です。

取引先に信用していただき、その信用を裏切らない価値をしっかりと提供していきましょう。
私も日々精進していきます。

前払い制に移行するにあたってのポイント

【前払い制に移行するにあたってのポイント】

  1. 先にお金をもらっても、返金要求やクレームなどのトラブルがあると結局手間なので、いずれにしても最初に契約書(対応内容、金額、免責事項など)はしっかり交わす。
  2. 急に前払いに移行すると「資金繰りに困っているのか?一刻も早くお金がほしいのか?」と内心あらぬ疑いをかけられる可能性もある。最初が肝心
  3. すべての取引を前払い制にすると決めて、実施する。本当に通常前払いなので、「他のお取引先も、通常前払いにてお願いしております」と普通に伝える。
  4. 前払いで支払いたくなるような工夫(取引条件や演出・説得)が必要。先方にとってのデメリット(ハードル・リスク)を取り除き、メリット・信頼性を示す。
  5. 下請け的な受託案件で前払いをお願いするのは、なかなか実現性が低い。下請け的な受託案件から脱却し、独自の価値を提供できる自社商品・パッケージサービスを展開していく。

前払いでお金をいただき、納品しても、万一食い違いなどがあると、返金要求などのトラブルになりかねません。

これは前払いに限らず、後払いでも同様ですが、取引内容や期日、免責事項など明確にし、リーガルチェックを受けて契約書はしっかり交わしておきましょう。

新規の取引先で、前払いを快諾してくださると、一見良い取引先かと思ってしまうと思いますが、本当にその企業と取引して良いのか、与信管理・調査は入念に行うよう徹底する必要があります。

中には、悪意を持ってやたらと訴訟をしかけて、裁判ばかり起こしているような企業もあるので、取引の際は十分に気をつけましょう。

まとめ

通常、納品した時点でお金をいただく権利が発生します。
売掛金とは、本来、納品して即いただくはずのお金を、予め約束した期日まで待ってあげることなので、実際お金を貸していることに等しいです。

売掛金は債権です。反対の買掛金は、貸借対照表で「負債」のところに載る勘定科目です。
納品された商品・サービスのお金を払わないというのは、借金を踏み倒すことと同じです。

私は、どんなに親しい人や付き合いの長い友人でも、「お金を貸して」と言われたら終わりだなと思っているので、基本絶対に人にお金を貸さないのですが、自分の会社では常に一定額の売掛金があります。
プライベートでは「お金は貸さない」と自分のルールとして決めていることを、ビジネスでは何となく当たり前のように行っていたなと、今回改めて感じました。

これまでも売上の半分ほどは前払いのお取引でしたが、今後は、すべてのお取引を前払いとさせていただき、前払いで契約が成立する案件以外は、辞退させていただく方針に切り替えます。

ストレスやリスクを減らして、お金と時間のゆとりを保ち、一人ホワイト企業としてビジネスを続けていくための方針です。